高齢者虐待防止

4、高齢者虐待の防止に向けた基本的視点

ケアマネジャーとして、基本的な視点を理解しましょう。

1、基本的な視点

1)発生予防から虐待を受けた高齢者の生活の安定までの継続的な支援
高齢者虐待防止対策の目標は、高齢者を虐待という権利侵害から守り、尊厳を保持しながら安定した生活を送ることができるように支援する事です。

高齢者に対する虐待の発生予防から、虐待を受けた高齢者が安定した生活を送れるようになるまでの各段階において、高齢者の権利擁護を理念とする切れ目ない支援体制が必要です。


2)高齢者自身の意思の尊重
高齢者虐待は児童虐待と異なり、「成人と成人」との人間関係上で発生することがほとんどです。「被害者−加害者」という構図に基づく対応ではなく、介護保険制度の理念と同様、高齢者自身の意思を尊重した対応を行うことが必要です。


3)虐待を未然に防ぐための積極的なアプローチ
高齢者虐待の問題では、虐待を未然に防止することが最も重要な課題です。そのためには、家庭内における権利意識の啓発、認知症等に対する正しい理解や介護知識の周知などのほか、介護保険制度等の利用促進などによる養護者の負担軽減策などが有効です。

また、近隣とのつきあいがなく孤立している高齢者のいる世帯などに対し、関係者による働きかけを通じてリスク要因を低減させることなど、高齢者虐待を未然に防ぐための積極的な取り組みが重要ととなります。


4)虐待の早期発見・早期対応
高齢者虐待の対応は、問題が深刻化する前に発見し高齢者や養護者・家族に対する支援を開始することが重要です。民生委員や自治会・町内会などの地域組織との協力連携、地域住民への高齢者虐待に関する啓発普及、保健医療福祉関係機関等との連携体制の構築等によって、虐待を未然に防いだり、仮に虐待が起きても早期に発見し対応できる仕組みを整えることが必要です。


5)高齢者本人とともに養護者を支援する
在宅で養護者による虐待が起きる場合には、虐待している養護者を加害者として捉えてしまいがちですが、介護疲れなど養護者自身が何らかの支援を必要としている場合も少なくありません。また、他の家族等の状況や経済状況、医療的課題、近隣との関係など様々な問題が虐待の背景にあることを理解しておく必要があります。

高齢者虐待の問題を高齢者や養護者のみの問題として捉えるのではなく、家庭全体の状況からのその家庭が抱えている問題を理解し、高齢者や養護者・家族に対する支援を行う事が必要です。


6)関係機関の連携・協力によるチーム対応
高齢者虐待の発生には、家庭内での長年の歴史を基にした人間関係や介護疲れ、金銭的要因など様々な要因が影響しており、支援にあたっては高齢者や養護者の生活を支援するための様々な制度や知識が必要となります。そのため、発生予防から通報などによる事実確認、高齢者の生活の安定に向けた支援に至る各段階において、複数の関係者が連携を取りながら高齢者や養護者の生活を支援できる体制を構築し、チームとして虐待事例に対応する事が必要です。