制度改正18.4

地域包括支援センターの設置

新たに導入された「地域包括支援センター」は、地域包括ケアを支える中核機関です。

?@総合相談支援・権利擁護、?A包括的・継続的ケアマネジメント支援、?B介護予防ケアマネジメントといった機能を担うことが期待されています。


そして、どのようなサービスを利用すべきかわからない住民に対して、そのニーズに適切に対応できる「ワンストップサービス」の拠点としての役割も求められています。以下17年12月の厚生労働省地域包括支援センター業務マニュアルからご紹介します。


この地域包括支援センターは、基本的には市町村直営ですが、法人に委託することもできるようになっています。現役ケアマネジャーで、現在ここに在席されている方もおられるのではないでしょうか。新しく設置されたセンターであり、ご苦労も多いのではと思います。


また、将来ケアマネジャーを目指す人は、職場になるかもしれませんし、試験問題の出題としては、重要なポイントとなることはまちがいありませんので、申し添えます。なお、主な点を抜粋してご紹介します。


1)地域包括支援センター設置の目的

地域包括支援センターは、その活動を通じて地域包括ケアを実現するものですが、そのためには、次の点を主な視点とする「地域包括支援体制」を確立する必要があるとされています。


?@総合性

高齢者の多様なニーズや相談を総合的に受け止め、尊厳ある生活の継続のために必要な支援につなぐこと。


?A包括性

介護保険サービスのみならず、地域の保健・福祉・医療サービスやボランティア活動、支え合いなどの多様な社会資源を有機的に結びつけること。


?B継続性

高齢者の心身の状態の変化に応じて、生活の質が低下しないように適切なサービスを継続的に提供すること。


2)地域包括支援センターの基本機能

地域包括支援センターは、上記の「地域包括支援体制」の実現を目指し、以下の基本機能を担います。


?@共通的支援基盤構築

地域に、総合的、重層的なサービスネットワークを構築すること。


?A総合相談支援・権利擁護

・高齢者の相談を総合的に受け止めるとともに、訪問して実態を把握し、必要なサービスにつなぐこと。

・虐待の防止など高齢者の権利擁護に努めること。


?B包括的・継続的ケアマネジメント支援

高齢者に対し包括的かつ継続的なサービスが提供されるよう、地域の多様な社会資源を活用したケアマネジメント体制の構築を支援すること。


?C介護予防マネジメント

介護予防事業、新たな予防給付が効果的かつ効率的に提供されるよう、適切なマネジメント行うこと。


また、地域包括支援センターは、このような基本機能を的確に果たすために、複数の専門職を置くこととしており、これらが多職種連携により、時に協働し、時に一体となって、高齢者の在宅での生活を支え、地域生活に安心を提供する役割果たすこととなります。


3)運営に当たっての基本的考え方

《運営における基本的な視点》

地域包括支援センターについては、その設置目的と基本機能に即し、以下のような基本的な視点に立脚した運営を行うことが求められています。


?@「公益性」の視点

地域包括支援センターは、介護保険制度をはじめとする市町村の介護・福祉行政の一翼を担う「公益的な機関」として、公正で中立性の高い事業運営を行う必要があります。かりそめにも、特定の事業者等に不当に偏ったような活動はあってはなりません。


それゆえに、地域包括支援センターの運営費用が、国民の介護保険料や国・地方公共団体の公費によってまかなわれていることを十分に認識した上での活動が求められます。センターに求められる「公益性」の視点は、市町村直営のみならず、法人委託のケースにおいても全く変りません。


?A「地域性」の視点

地域包括支援センターは、地域の介護サービス提供体制を支える中核的な存在であり、それだけに各地域の特性や実情を踏まえた柔軟な事業運営を行う必要があります。


このため、後述する「地域包括支援センター運営協議会」をはじめ様々な場や機会を通じて、地域のサービス利用者や事業者、関係団体、一般住民等の意見を幅広く汲み上げ、それらをセンターの日々活動に反映させるとともに、地域が抱える課題の解決に積極的に取り組んでいくことが重要です。


また、センターと地域とのつながりを確保する観点から、センターの職員も長期にわたって固定せず、できる限り地域から有為な人材を広く登用し、一定期間後には地域に送り出すような人材育成・供給センターを目指すことが望まれます。


?B「協働性」の視点

地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任介護専門員をはじめ多くの専門職種の職員が配置されていますが、各職員が自らの担当業務を狭く捉え「縦割り」に陥るようなことがあってはなりません。


職員相互が常に情報を共有し、互いの業務の理念・基本的な骨格といったものを理解した上で、連携・協働の事務体制を作り上げ、地域包括支援センターの業務全般を「チーム」として支えていくこと(チームアプローチ)が必要です。


また、センター内にととどまることなく、地域の中に積極的に入って問題の発見に努めるとともに、地域の保健・福祉・医療の専門職やボランティア、民生委員など地域福祉を支える様々な関係者と密接な連携を創り、保つことが重要です。


さらに、一般住民対して認知症への理解を広げ、認知症高齢者を包み込んで支える「住民の輪」を作り上げるような活動も求められます。


《地域包括支援センター職員としての基本的な視点》

更に、地域包括支援センターで業務に従事するに当たっては、次のような視点を常に認識する必要があります。具体的に説明してありますので、理解しやすいと思います。


?@高齢者が自分らしい生活を継続するための支援であること

地域包括支援センターにおける業務はすべて、地域に暮らす高齢者が、住み慣れた環境の下で、自分らしい生活を継続するためになされる支援です。そのことを念頭に置き、地域包括支援センター職員は、常に当事者の最善の利益を図るための支援をする必要があります。


このことは、たとえ、当事者である高齢者自身が自分の意思を十分に表出することができない状況にあっても同様です。


?A「権利擁護」の視点に基づくものであること

地域包括支援センターにおける支援は、地域の高齢者生活を支えていく上で生じうる様々な権利侵害を防止するとともに、高齢者の「権利擁護」「権利実現」を行う支援でもあります。そのため、地域包括支援センターの職員は高齢者の様々な権利実現の方法、権利侵害やこれらが発生する状況についての知識と理解を深めていく必要があります。


?B相談者等のプライバシーを尊重すること

地域包括支援センターの職員は、相談者等のプライバシーを最大限に尊重することが必要です。相談や情報収集においては当事者及び関係者の様々な情報を得ることになりますが、その範囲はあくまでも支援をする上で必要な範囲内にとどめるとともに、常に守秘義務を負う者であることを自覚する必要があります。


また、支援においては個人情報保護法や各自治体のの定める個人情報保護条例を踏まえ、適切な手続きに則った業務を行わなければなりません。


ただし、虐待等であって、高齢者の生命、身体の保護のために必要があると判断される場合には、守秘義務や個人情報保護に優先した迅速な支援が必要な場合があることも認識する必要があります。


?C地域や家族の特性に応じて「包括的かつ継続的」支援すること

地域住民が抱える生活上の課題には、地域特性やその家族状況による影響がその背景にある場合があります。高齢者自身の課題として捉えた事柄が、地域性に大きく影響を受けている場合や、他の家族構成員との関係において生じている場合があります。


地域包括支援センターの職員は、これらの状況を把握した上で、地域の実情を踏まえつつ、介護保険サービスだけではなく、保健、医療、福祉、そのほかの生活支援サービスなどを含め、地域における様々な資源を活用し、高齢者に対して「包括的かつ継続的に」支援を行っていくことが必要です。


このためには、地域包括支援センターが、地域の様々な社会資源を把握し、地域包括支援ネットワークを重層的に構築していくことが、きわめて重要になります。


?D「チームアプローチ」であることを十分に理解すること

「地域包括ケア」を実現するためには、地域包括支援センターの職員がそれぞれの専門に係る業務のみを担当するのではなく、「3人の専門職」が「4つの業務」を行う「チームアプローチ」の考え方こそが、地域包括支援センターの基本であるということを認識することが必要です。


?E専門性の向上を図ること

業務の進め方は、「3人の専門職」が「4つの業務」を行う「チームアプローチ」の考え方に基づきますが、地域包括支援センターにおける支援は、専門的な知識、技術に基づいて行われることが必要です。


保健師等は、介護予防ケアマネジメント業務に、社会福祉士等は総合相談支援業務及び権利擁護業務に、主任介護支援専門員は包括的・継続的ケアマネジメント業務に専門性を有するものとして、他の職員に適切な助言が行えるよう、常に専門性を高めていくことが必要です。


※この地域包括支援センターは、市町村直営あるいは、委託を受けて設置されている法人等もあられると思います。その中で、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の配置も必須となっています。


設置当初で、ご苦労も多いと思いますがチームアプローチの充実を図り、スムーズな運営ができますようご期待します。